こんばんは。
“ちびぼうず”です。
先日12/27(火)に映画「THE FIRST SLAM DUNK」を映画館で観てきました。
終始、涙が止まりませんでした。
最初に映画CMを見た際に、「CGアニメってどうなの?」「アニメから声変わってない?」「どの試合が描かれるの?」「山王工業戦だけ⁉描くの難しくない?」と半信半疑で、上映開始から1カ月程度、映画館から足が遠のいていました。
なぜかと言えば、私自身の人格形成に大きな影響を与えた漫画だったからです。
「スラムダンク」は、1990年から“週刊少年ジャンプ”で連載開始されました。1990年といえば、私は当時4歳。週刊少年ジャンプなんて手に取ったこともないし、「スラムダンク」なんて知る由もありませんでした。
また、1993年からTVアニメが放映開始されたのですが、7歳の子どもが観ても正直よく理解できませんでした。しかし、我が父が腹を抱えて笑いながら食い入るように観ていたこともあり、興味が湧いたことを覚えています。
転機は、私が10歳の時にスイミングクラブ(競泳)の選手コースに昇格するタイミングでした。当時、競泳の練習は非常に厳しく、𠮟られ放題だったこともあり、遊びたい盛りの私は練習をサボりがちでした。そのため、コーチやチームメイトから疎遠になり、クラブでの居場所が無くなりつつありました。その最中に、サボりの道中で「スラムダンク」を立ち読みした訳です。記憶は朧気ですが、主人公:桜木花道の男気に当てられて、練習に復帰しました。
競泳の練習を頑張れば頑張るだけ、コーチやチームメイトは認めてくれるし、記録も伸びていきました。スラムダンクの話題は、若干コミュ障だった私と、チームメイトとの会話の架け橋にもなってくれました。結果、家族以外のコミュニティを得ることができた訳です。努力が結実し、1998年には全国大会で入賞することもできました。
時は進み、私の就職活動では、「水泳の話が面白かったから採用した」と、入社後に人事担当から耳打ちされたことも衝撃的でした。
詰まるところ、「スラムダンク」が今の私を成していると言っても過言ではないのです。
さて、話を映画(現在)に戻します。
既出のとおり、原作の主人公は桜木花道。彼の類稀な運動神経を生かしてバスケットボールに取り組むことで、非行から更生するとともに、スポーツの魅力を体現していくというようなストーリーでした。
一方、今回の映画では、基本的なラインは漫画で描かれた“山王工業戦”ですが、主観は宮城リョータです。
<ここから、ネタバレありです!>
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よろしいでしょか?
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漫画等で描かれてなかった(?)宮城リョータの過去から話が紡がれていきます。
沖縄県に住むリョータ一家。父が亡くなり、リョータの兄:ソータが家族の心の支えとなるのですが、その兄も海難事故で早世します。
リョータは兄:ソータの代わりになろうと努力します。また、兄:ソータの夢である「打倒、山王工業高校」を実現するために、バスケットボールに邁進するわけです。しかしながら、母親の中にある喪失感を拭い去ることができず、リョータの中で“家族のために、母のために、自分に何ができるのか”という葛藤が生まれます。
その後、家族で移住した神奈川県にて、湘北高校の個性の強すぎるメンバーと関わることで成長していく訳です。
観ていて苦しかった部分は、例えば、リョータが自分の誕生日ケーキのプレートを粉々にする描写や、インターハイ前日に母親宛ての手紙を“謝罪”から始めようとする描写。“なぜ自分が生きているのか”、“母親に認められたい”という心の叫びが伝わってきました。
宮城リョータの主観とは言いながら、他メンバーの回想描写もありました。
キャプテン:赤木剛憲について、高校2年生時に先輩からあった非常に強い皮肉が他者に頼ることを阻害していたこと、その先輩からの火の粉がリョータに及ばないように庇う姿など。
また、三井寿について、やさぐれる中学時代のリョータとストリートバスケで接点があったことや、恩師:安西先生をストーカーしていたこと(笑)など、映画鑑賞する面々の心を揺さぶるシーンがありました。
ただし、私の中で一番心を揺さぶられた場面は、やはり桜木花道が背中を痛めてからブザービーターを決めるまでの部分。桜木が背中の治療をされる最中に回想するシーンは、既知の内容にもかかわらず涙無くして見られませんでした。流川楓とのハイタッチも健在で、嬉しかったな~。
最後は、お忍びでリョータのインターハイを観戦した母親の心境変化と、ぎこちないけれどもリョータとの距離を縮めようとする姿に、心が温まりました。
エンドロール後は、山王工業高校・エースの澤北とリョータがポイントガードとして、米国大学リーグで相対する姿が描かれていました。リョータの家は留学費を捻出するにはなかなか難しい家庭環境だと推察され、「スラムダンク奨学金」の活用を想起させる描写になっていました。
“経済的な理由で夢をあきらめないで欲しい。機会は平等にある。”という、井上雄彦氏からのメッセージだったのではと理解しています。
ちなみに、「スラムダンク奨学金」は、原作者:井上雄彦氏らが創設した”バスケットボール留学に特化した”奨学金です。同氏の、「アメリカで競技を続ける意志と能力を持ちながら、経済的その他の理由でその夢をかなえられない若い選手を支援」したいという思いを実現したものです。
さて、今回の映画を総括すると、控えめに言って「最高!」でした。
ここ数カ月は仕事が忙しくて、なるべく無心で、他者から影響されないような働き方をしてきました。それは私生活にも影響があったと思っていて、振り返ると家族との関わりも少しドライになっていたように感じます。その意味で、乾いた土に水を与えてもらった気がしています。改めて、「スラムダンク好きだな~」と思わされました。
なお、多くの子どもが映画館で鑑賞していました。バスケットボール映画としては展開も早く、彼らにおいては面白かったかもしれません。しかしながら、内容自体は大人向けの印象です。正直、私自身も行間や描写を理解しきれていないと思います。良い意味で、「まだまだ修行が足りない」と感じさせられました。
ネタバレさせながら言う話でもないのですが、もしこれからご覧いただく皆様におかれては、原作で少し予習・復習されることを推奨いたします笑